1位: ゲゲゲの女房
評価
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奥様の隠された思い
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漫画家水木しげるの妻が自伝に託してもう一人の「水木しげる」を描いている。奥様が非常に慎み深い人であることは文章の端々からわかるので恨みがましいことはさらっとしか触れていないが、わかる人には気づくように書かれている。
水木氏が紙芝居、貸本マンガ時代を含めて「ゲゲゲの鬼太郎」で稼げるようになるまで極貧生活を送っているが、それは親に心配をかけることだけは絶対にしてはならないと厳命されていて、水木本人の傷痍軍人恩給(実家の両親が管理)を生活が苦しいのでこちらで使わせてもらえないか、とは口が裂けても義母にいえなかった事情があったからだった。子供ができたときにまるで堕せといわんばかりの水木の言い方には、さすがの奥様も「私は産みますけん!」ときっぱり言い切った。「何ごとも水木の両親や兄弟の家が優先で、最後がわが家」というフレーズも一度ならず出てくる。
水木が売れっ子マンガ家になって大変忙しくなったときに「私の目を見て話してくれることがほとんどなくなったことが、寂しくてたまりませんでした」と告白されているが、水木の女性関係かな?ということがほのめかされている。もちろん推測にすぎないが、NHKスペシャル「鬼太郎が見た玉砕 水木しげるの戦争(2007年)」で香川照之扮する水木しげるが忙しい最中突然姿を消して、編集者の人が「女性を買いにいっている」とつぶやくシーンがあるのだが、そういうことはあったのだろう。
義母との嫁姑の関係も、晩年義父が亡くなった後は水木プロの仕事場があったマンションに義母が移って別居するようになってからは以後亡くなるまで話し相手をする程度ですんで助かったと書いている。「とにかくユニークな義母」という表現に込められている思いは複雑だ。
他に意外だったのは水木が戦争に行く前に「聖書」を読んでいたことで、ゲーテへの傾倒といい水木作品の根底にあるものを垣間見た気がした。
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