2位: 海 (かがくのほん)
評価
|
海をテーマにした科学絵本の傑作
|
本書は1969年の発行以来、卓越したオリジナリティーと本格的な内容で根強い人気を誇る、加古里子さんの科学絵本の一つ。対象が「小学校初級〜おとなまで」と印字されている通り、大人でも読みごたえがある。
冒頭の日本の干潟に始まり、遠浅の海〜湾〜太平洋〜熱帯太平洋〜南極圏〜大西洋〜北極圏と地球をほぼ一周するように描かれていて、海洋探検に出た気分になる。また、海を断面図で描いているため、太平洋の海底が平坦で、大西洋の海底が急峻なことや、南極は氷の下が陸で、北極は氷の下が海であることなどが一目瞭然だ。もちろん、海に棲む代表的な生物は網羅されており、どの生物がどんな姿でどんな場所にいるのかよく分かる。さらに、漁の方法や人工物まで盛り込まれており、色々な角度から子どもの好奇心を刺激するだろう。
著者が解説で述べている通り、海が持つ有機的な様相や、動的な関連性(物理学的にも生物学的にも)が総合されており、海の全体像を把握するのに最適な一冊である。人類の探検・開拓の歴史にも光を当てていて、先人の勇気と知恵が現代の私たちに知識を授けてくれたのだと思い知る。本書を読む子どもたちが人類の未来を開拓する知の担い手となってほしい、という著者の熱いメッセージを感じた。
|
| 他のコメントも読む
|
|
|