8位: 三国志〈第4巻〉 (文春文庫)
評価
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こってり塗りの漆喰壁に亀裂が…?
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| ようやく曹操の周りに集まってくる人物が描かれ、まるでレンガを一つ一つ積み上げるようにして書かれている、宮城谷さん自身「三国志は難しい」と言った苦心の第四巻目である。人物描写は極力、正史三国志を意識してなのか、他の「三国志」では、ずば抜けてこっぴどい性格で書かれている人物でも、自然と人間のできる範囲の凶暴さで、それは引き締まった人物像であり、それぞれの考えが描かれているのが印象的だ。ただ、全体的にレンガを積み上げた壁に丹念に漆喰を熟練した技で塗り固めていっているように感じるものの、袁紹と袁術が大騒ぎしている間に、董卓が殺されているのが、ものすごく後になって書かれ始めたり、徐州で曹操が親父さんを殺されて、大暴れしていたのが、なぜかふいに何の理由も書かれずに撤退してしまったりするという、漆喰の壁にところどころ亀裂があるように感じるのが否めない。やっぱり同時進行で物事を書いていただかないと、読んでるこちらもあたふたしてしまうのだが、三国志全体の見通しをつけている方なら、「ああ、ここであれが繋がったんだな」と納得しながらいけるといえば、全く嘘ではない。ゆえに「三国志は難しい」のだとよく解かるといってよいほど、入念さが伺える。熟練匠の壁にもたまにはヒビが入るらしい、くらいで読むのが一番気楽で良いと思う。劉備も出てきたことだし、まだまだ盛り上がるにはじっくり読んでいきたいと思う第四巻である。
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