9位: 経営戦略の論理
評価
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現実から「本質」を抽象化しようとする作業
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「この本には、戦略の論理は書いてあるが、戦略のつくり方のハウツウは書いていない
・・・いい戦略の「なに」と「なぜ」を書いた」
著者ははしがきでこのように述べています。ハウツウ本ではないのだ、と。
つまり、経営コンサルタントの本とは本質的に異なるアカデミックな本です。
ただ、テーマが「企業経営」というきわめて現実的なものなので、ハウツウ本と勘違いする人もいるでしょう。
経営はダイナミックなもので、不変の必勝戦略などありえません。
チームスポーツでいえば、どんなチームでも使える「必勝戦略」がないのと同じです。
一つのチームについてさえ、不変の常勝戦略などないでしょう。
相手も変われば、個々のメンバーの体調や体力も、条件も変わりますから。
しかし、強いチームに共通する一定の「何か」はあるのではないか、
同じように、成功している企業に共通する「何か」があるのではないか。
本書は、その「何か」をさまざまなケースから抽出しようとした試みです。
これを成功例のいいとこ取りだ、後講釈だと勘違いする人がいるかもしれません。
しかし、都合のいい成功例をちょちょいとつまんでそれらしく講釈した本ではありません。
背後には膨大なスタディがあるであろうことが感じとれます。
賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶと言いますが、
目に付いた事例から学ぶのは後者で、多くの事例研究から本質を抽出する作業は前者に属します。
両者の「いいとこ取り」はまったくの別物です。
本書で取り上げられた企業も永遠に成功し続けるわけではないでしょう。
本書は優れた「経営戦略」を論じた本であって、成功「企業」の予言本ではないからです。
成功した企業でも、「戦略的適合」がなくなれば落ち目になるのは当然で、
勘違いする人は、それを「外れた」と評するかもしれませんが、
企業経営がダイナミックある以上、当然の帰結です
肝心なのは現実から本質や論理を抽出しようとする目を養うことです。
不変の真理がどこかにあるはずだと思っている人にはお勧めしませんし、
目前の問題解決に即効性のある答えを求める人にもお勧めしません。
しかし、経営戦略の「考え方」を求める人には、これほどの良書は少ないと思います。
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